PR
基礎知識・安全

ポータブル電源のWh・mAh・Wの違いを初心者向けに解説

ポータブル電源と家電を使ってWh・mAh・Wの違いを示したアイキャッチ画像

こんにちは、次世代エレクトロニクス・コンサルティングアナリストのジンデンです。

ポータブル電源を選ぼうとスペック表を眺めていると、「Wh」「mAh」「W」という似たような単位が並んでいて、正直どれを見ればいいのか分からなくなりませんか。
「1000Whって結局どれくらい使えるの?」「スマホのバッテリーはmAhなのに、なぜポータブル電源はWhなの?」という疑問は、私のもとにも本当によく届きます。

結論から言うと、ポータブル電源選びで最優先すべきはWh(ワットアワー)と定格出力(W)の2つです。
mAhだけを見て選ぶと、思ったより家電が動かせなかったり、逆に必要以上に大きなモデルを買ってしまったりすることがあります。

この記事では、電気の知識がゼロの方でも分かるように、Wh・mAh・Wの意味と違い、そして自分で換算できる計算式まで、順を追って丁寧に解説していきます。
読み終わるころには、スペック表がスラスラ読めるようになっているはずですよ。

  • ポータブル電源のWh・mAh・Wそれぞれの意味と役割の違い
  • WhとmAhを自分で換算できる計算式と具体的な計算例
  • Jackeryなど実際の製品スペック表の正しい見方
  • 容量不足や過剰購入を防ぐための購入前チェックポイント

ポータブル電源のWh・mAh・Wとは

ポータブル電源を中心にWh・mAh・Wの役割を比較した画像まずは基本の3つの単位、Wh・mAh・Wの意味をひとつずつ整理していきます。
この3つは似ているようで、それぞれ「電気のためられる量」「電気の流れた量」「電気を使う勢い」というまったく別のものを表しています。
ここを最初に押さえておくと、あとの換算や製品比較がぐっとラクになりますので、少しだけお付き合いくださいね。

Whはエネルギー量を表す単位

Wh(ワットアワー)は、電気のエネルギー量、つまり「どれだけの電気をためられるか・使ったか」を表す単位です。
ポータブル電源のスペック表で「容量:1000Wh」と書かれていたら、それは電気をためられるタンクの大きさを示していると考えてください。

計算式はとてもシンプルで、Wh = W(消費電力)× 時間(h)です。
たとえば100Wの電気毛布を1時間使えば100Wh、2時間使えば200Whの電力量を消費したことになります。
逆に言うと、1000Whのポータブル電源があれば、100Wの機器を理論上およそ10時間動かせる計算になるわけです。

この「消費電力×時間」という考え方は、電気料金の明細に出てくるkWh(キロワットアワー)と同じ仕組みです。
1kWh=1000Whなので、家庭の電気代の感覚とつなげて理解できるのもWhの分かりやすいところですね。
たとえば一般的な家庭の1日の電力使用量は10kWh前後と言われることが多いので、1000Whのポータブル電源は「家1軒の1日分の電気の10分の1程度をためられる」というスケール感になります。

ポータブル電源において、Whは「どれだけ長く家電を動かせるか」を判断する最重要の数字です。
より基本的な容量の読み方から確認したい場合は、ポータブル電源の容量(Wh)の見方もあわせて読んでおくと、スペック表の理解がさらに深まります。
あなたが今スペック表で迷っているなら、まずこのWhの欄から見る習慣をつけてみてください。
それだけで製品比較の精度が一段上がります。

mAhは電荷量を表す単位

mAh(ミリアンペアアワー)は、バッテリーから取り出せる電気の量(電荷量)を表す単位です。
スマホのバッテリーやモバイルバッテリーの容量表示でおなじみですよね。

もう少し正確に言うと、mAhは「電流(mA)×時間(h)」で表されます。
たとえば1000mAhなら、1000mA(=1A)の電流を1時間流し続けられる量、という意味です。
なお1Ah=1000mAhなので、大きな容量ではAh(アンペアアワー)で表記されることもあります。

ここで大事なポイントがひとつあります。
それは、mAhには「電圧」の情報が含まれていないということです。
電気のエネルギー量は「電圧×電流×時間」で決まるため、同じ10000mAhでも、電圧3.7Vのバッテリーと12Vのバッテリーでは、ためられるエネルギーがまったく違います。

水にたとえると、mAhは「流れた水の量」だけを表していて、「水圧(=電圧)」が抜けているイメージです。
だからこそ、電圧の異なる機器同士をmAhだけで比べるのは不公平な比較になってしまうんですね。
この点は後半の「よくある誤解」でも詳しく取り上げます。

Wは瞬間的な電力を表す単位

W(ワット)は、その瞬間にどれだけの電力を使っているか・出せるかを表す単位です。
WhやmAhが「たまっている量」を表すのに対して、Wは「今この瞬間の勢い」を表すという違いがあります。

計算式はW = 電圧(V)× 電流(A)です。
たとえば100Vのコンセントに1Aの電流が流れていれば、消費電力は100Wということになります。
家電製品の裏側やラベルには必ずこの消費電力(W)が書かれているので、一度お手元の家電を確認してみてください。

ポータブル電源のスペックでWが登場するのは、主に「定格出力」の欄です。
定格出力とは、そのポータブル電源が安定して供給できる電力の上限のこと。
たとえば定格出力500Wのモデルなら、消費電力500W以下の家電が使える、という見方をします。

ここで覚えておいてほしいのは、WhとWは役割がまったく別だということです。
Whは「どれだけ長く使えるか」、Wは「どれだけパワーのある家電を動かせるか」。
車にたとえるなら、Whはガソリンタンクの大きさ、Wはエンジンの馬力のようなものです。
タンクが大きくても馬力が足りなければ坂道は登れませんし、その逆もまた然り、ということですね。

WhとmAhの換算方法と計算式

電圧を使ってWhとmAhを換算する計算式を示した画像単位の意味が分かったところで、次は実践編です。
WhとmAhは、電圧(V)さえ分かればお互いに換算できます。
この章では、mAh→Wh、Wh→mAhの2つの計算式と具体例、そして電圧が分からないときの考え方まで解説します。
計算といっても掛け算と割り算だけなので、スマホの電卓があれば誰でもできますよ。

mAhからWhを求める計算式

mAhからWhへの換算式は、次のとおりです。

Wh =(mAh × 電圧V)÷ 1000

なぜ1000で割るのかというと、mAh(ミリアンペアアワー)をAh(アンペアアワー)に直すためです。
電力量の基本式は「Wh=V×Ah」なので、mAhのままだと桁が1000倍ずれてしまうんですね。

具体例で見てみましょう。
電圧3.7V・容量4000mAhのスマホバッテリーの場合、(4000×3.7)÷1000=14.8Whとなります。
つまりこのスマホを空の状態から満充電するには、単純計算で約14.8Wh前後のエネルギーが必要という目安になります。

もうひとつ、モバイルバッテリーの例も挙げておきます。
「10000mAh(3.7V)」の製品なら、(10000×3.7)÷1000=37Whです。
この37Whという数字が分かると、「1000Whのポータブル電源は、このモバイルバッテリー約27個分の容量なんだな」といった比較が一気にできるようになります。
スマホ充電を目的に容量を見たい方は、ポータブル電源でスマホは何回充電できるかの考え方も参考になります。

どうでしょう、思ったより簡単ではないですか。
この式さえ覚えておけば、mAh表記しかない製品でもWhベースで公平に比較できるようになります。

WhからmAhを求める計算式

今度は逆パターン、WhからmAhへの換算です。
式は先ほどの逆算で、次のようになります。

mAh =(Wh ÷ 電圧V)× 1000

たとえば100Whのバッテリーを電圧3.7Vで換算すると、(100÷3.7)×1000=約27027mAhとなります。
飛行機に持ち込める上限としてよく話題になる「100Wh」は、3.7V換算でおよそ27000mAhに相当する、と覚えておくと便利ですよ。

代表的な電圧ごとに、1000mAh(=1Ah)がどれくらいのWhになるかを表にまとめました。

電圧(V) 1000mAhあたりの電力量(Wh) 主な用途の例
3.7V 3.7Wh スマホ・リチウムイオンセル
3.2V 3.2Wh リン酸鉄リチウム(LiFePO4)セル
12V 12Wh 車のバッテリー・シガーソケット系
24V 24Wh トラック・産業用機器
48V 48Wh 電動アシスト自転車・蓄電システム

この表を使えば応用も簡単です。
たとえば3.7V・5000mAhなら3.7Wh×5=18.5Wh、12V・2000mAhなら12Wh×2=24Whという具合に、暗算に近い感覚で換算できます。
電圧が変わると同じmAhでもWhが大きく変わることが、この表からもよく分かりますよね。

電圧が不明な場合の目安電圧

「換算式は分かったけど、そもそも電圧がどこにも書いていない…」というケース、実は結構多いんです。
そんなときは、バッテリーの種類ごとの公称電圧(メーカーが定めた標準の電圧)を目安として使います。

代表的な目安は次のとおりです。
一般的なリチウムイオン電池のセルは3.7V、最近のポータブル電源で主流になりつつあるリン酸鉄リチウム(LiFePO4)のセルは3.2Vが広く使われています。
スマホやモバイルバッテリーの内部セルも、基本的には3.7V基準で表記されていることが多いですね。

豆知識:モバイルバッテリーのmAh表記は内部セル電圧(3.7V)が基準です。
実際にUSBから出力されるのは5Vなので、5V換算では容量が小さく見えます。
たとえば10000mAh(3.7V)=37Whは、5V換算だと約7400mAh相当。
「10000mAhなのにスマホが2回ちょっとしか充電できない」と感じる理由のひとつが、この電圧の違いなんです。

電池の種類の見分け方も簡単に触れておきます。
製品仕様に「リチウムイオン電池」とだけ書かれていれば3.7V、「リン酸鉄リチウム」「LiFePO4」「LFP」といった表記があれば3.2Vを目安にする、と覚えておけば大きく外すことはありません。
最近のポータブル電源は寿命の長さや安全性の面からリン酸鉄リチウムを採用するモデルが増えているので、新しめの製品なら3.2V基準の可能性が高いですね。

もちろん、これらはあくまで一般的な目安です。
正確な数値を知りたい場合は、製品の取扱説明書やメーカー公式サイトに記載されている仕様を必ず確認してください。
メーカーが内部電圧を公表している場合は、その値で計算するのが最も確実です。

ポータブル電源スペックの見方

容量Whと定格出力Wを確認するポータブル電源のスペック表画像単位と換算式が身についたら、いよいよ実際のスペック表を読み解いていきましょう。
この章では、人気ブランドJackery(ジャクリ)の表記例を題材に、Wh・mAhの読み方、カタログ値と実際に使える容量の違い、そして見落としがちな定格出力のチェック方法まで解説します。
ここが読めるようになれば、店頭でもネットでも自信を持って比較検討できますよ。

JackeryのWh・mAh表記例

Jackeryの小型モデル「Explorer 100 Plus」を例に見てみましょう。
このモデルの容量は「99.2Wh/31000mAh(3.2V)」のように、WhとmAhが併記される形で案内されています。

先ほどの換算式で検算してみると、(31000mAh×3.2V)÷1000=99.2Whとなり、表記とピタリと一致します。
つまりJackeryのmAh表記は、内部セル電圧3.2V(リン酸鉄リチウム系)を基準にした数字だと読み取れるわけです。
「jackery mah」「jackery watt hours」と検索される方が知りたいのは、まさにこの対応関係だと思います。

一方、大容量モデルになるとWh表記が中心になります。
たとえば「Explorer 1500 Ultra」クラスの容量は1536Whとされており、これを3.7V換算すると約415000mAh、3.2V換算なら約480000mAhという計算になります。
数十万mAhという桁になるので、大容量帯ではmAhよりWhで表記したほうが直感的に分かりやすい、という事情もあるんですね。

他社の例でも、Ankerの768Whクラスは3.7V換算で約207000mAh、Bluettiの2000Whクラスなら約541000mAh相当という具合に、Whさえ分かればmAhはいつでも計算できます。
なお、モデルごとの正確な仕様や内部電圧は変更されることもあるため、購入前には必ず各メーカーの公式サイトで最新情報を確認してくださいね。

実効容量は表示の8〜9割が目安

ここからは、カタログには大きく書かれていない、でも実用上とても大事な話です。
それは、表示されているWhをそのまま100%使えるわけではないということ。

理由は主に3つあります。
1つ目は、バッテリー自体の充放電で生じるロス。
2つ目は、直流(DC)でためた電気を家庭用コンセントと同じ交流(AC)に変換するインバーターの変換ロス。
3つ目は、内部抵抗による熱としての損失です。

これらを合計すると、実際に使える容量(実効容量)は表示Whのおよそ80〜90%程度になるのが一般的な目安と言われています。
たとえば1000Whのモデルなら、実際に取り出せるのは800〜900Wh前後と見込んでおくのが現実的、ということですね。

注意:高負荷の家電を動かすときや、冬場の低温環境では効率がさらに下がることがあります。
「1000Whだから100Wの機器が10時間動くはず」と計算どおりに考えず、2割程度の余裕を持たせて容量を選ぶのが失敗しないコツです。

メーカー側もこの点は織り込んでいて、たとえばBluettiでは「1000Whの容量で1200Wのドライヤーを約40分使用できる」といった、変換ロスを考慮した控えめな目安を案内しています。
単純計算なら50分動く計算のところを40分としているあたり、実効容量の考え方がよく表れていますよね。
Jackeryの説明でも「1000Whなら100Wの機器を約10時間」と計算できる一方で、インバーターの変換ロスなどにより実際の使用時間は短くなる、という注意喚起がなされています。

ジンデンのワンポイントアドバイス

私が容量選びの相談を受けるときは、「使いたい家電の消費電力×使用時間×1.2〜1.25」で必要Whを見積もることをおすすめしています。
この2割強の上乗せが、変換ロスや低温時の効率低下をカバーしてくれる保険になるんです。
ギリギリの容量で選ぶと、いざという時に「あと30分足りない…」となりがちなので、少し余裕を持った選び方を意識してみてください。

定格出力Wの確認ポイント

容量(Wh)と並んで必ずチェックしてほしいのが、定格出力(W)です。
定格出力とは、そのポータブル電源が継続して安定供給できる電力の上限のこと。
ここを見落とすと、「容量は足りているのに家電が動かない」という残念な事態が起こります。

たとえば容量300Whのモデルでも、定格出力が100W未満なら、消費電力100Wの機器は動かせません。
タンクにガソリンがたっぷり入っていても、エンジンのパワーが足りなければ重い荷物は運べない、というイメージです。

チェックの手順は簡単です。
まず、使いたい家電の消費電力(W)を製品ラベルや取扱説明書で確認します。
次に、ポータブル電源の定格出力がその消費電力を上回っているかを確認する。
複数の家電を同時に使うなら、消費電力の合計が定格出力以下に収まるかを見る。
この3ステップだけです。

また、電子レンジや冷蔵庫、電動工具のようにモーターやコンプレッサーを積んだ家電は、起動の瞬間だけ定格の数倍の電力(起動電力)を必要とすることがあります。
スペック表の「瞬間最大出力」の欄がこの起動電力に対応できるかも、あわせて確認しておくと安心ですよ。
家電別の注意点まで確認したい場合は、ポータブル電源で家電を使う前に知りたい基礎知識も役立ちます。
あなたが動かしたい家電は、消費電力何Wでしたか?
まだ確認していなければ、この機会にぜひラベルを見てみてください。

購入前の注意点とよくある誤解

ポータブル電源購入前の比較ポイントと注意点を確認する画像最後の章では、ポータブル電源選びでつまずきやすい誤解と、購入前に知っておきたい注意点をまとめます。
mAh比較の落とし穴、意外と知られていない飛行機への持ち込みルール、そして必要な容量を自分で計算する手順まで。
ここまで読んでくれたあなたなら、すべてスッと理解できるはずです。

mAhだけで比較する落とし穴

ここまで読んでいただいた方にはもうお分かりだと思いますが、改めて強調しておきます。
mAhの数字だけで容量を比較するのは、誤解のもとです。

理由は、mAhに電圧の情報が含まれていないから。
電気のエネルギー量は「電圧×電流×時間」で決まるので、電圧が違う製品同士では、同じmAhでもためられるエネルギーがまるで違います。
たとえば3.7V・10000mAhは37Whですが、12V・10000mAhなら120Wh。
数字上は同じ10000mAhなのに、エネルギー量には3倍以上の差があるわけです。

特に注意したいのが、モバイルバッテリーの感覚のままポータブル電源を選んでしまうケースです。
「30000mAhのモバイルバッテリーってすごく大容量だから、31000mAhのポータブル電源も同じくらいかな」と考えたくなりますが、どちらも約100Wh前後で、家庭用の家電を長時間動かすにはかなり小さい部類に入ります。
100Wh前後の小型ポータブル電源とモバイルバッテリーの違いを知りたい方は、Jackery100Plusはモバイル電源と何が違うかもあわせて確認してみてください。
電気毛布や小型冷蔵庫を一晩動かしたいなら、数百Wh以上のクラスが視野に入ってくる、というのが実際の感覚です。

また、WとWhの混同にも気をつけたいところです。
「500Wのポータブル電源」という言い方だけでは、それが定格出力の話なのか容量の話なのか分かりません。
スペック表では必ず「容量:○○Wh」「定格出力:○○W」と項目を分けて確認する癖をつけると、こうした混同を防げますよ。

だからこそ、ポータブル電源の能力を比較するときは、必ずWhに揃えて見比べるのが鉄則です。
mAh表記しかない製品に出会ったら、この記事の換算式「Wh=(mAh×V)÷1000」の出番。
電圧が書かれていなければ3.7Vまたは3.2Vを目安に概算し、正確な値はメーカーに確認する、という流れで判断してください。

飛行機持ち込みは100Whが基準

意外と見落とされがちなのが、飛行機に乗るときのルールです。
リチウムイオン電池は航空法規上の危険物にあたるため、エネルギー量(Wh)に応じた持ち込み制限が設けられています。

一般的な目安として、100Wh以下のモバイルバッテリー類は機内持ち込みが可能とされています。
100Wh超〜160Wh以下になると、航空会社の事前承認が必要になる場合があり、個数の制限がかかることもあります。
そして160Whを超えるものは、原則として機内持ち込みも預け入れもできません。

注意:一般的なポータブル電源は数百Wh〜数千Whのものが多く、そのほとんどが160Whを超えます。
つまり、飛行機での旅行や帰省にポータブル電源を持っていくのは、基本的に難しいと考えたほうがよいです。
なお、規定の詳細は航空会社や路線、時期によって異なる場合があるため、搭乗前に必ず利用する航空会社の公式サイトで最新のルールを確認してください。

ここで役立つのが、先ほどのWh換算の知識です。
手持ちのモバイルバッテリーに「26800mAh(3.7V)」と書かれていたら、(26800×3.7)÷1000=約99.2Whなので、100Wh以下の枠に収まる、という判断ができます。
多くのモバイルバッテリーが26800mAhや27000mAh前後を上限にしているのは、この100Whの基準を意識した設計だからなんですね。

あわせて安全面にも触れておきます。
大容量バッテリーを選ぶ際は、過充電・過放電の保護回路や過熱保護を備えた製品であること、日本の電気用品安全法(PSEマーク)や国際的な安全基準に適合していることを確認しましょう。
不明な点があればメーカーに問い合わせるのが確実ですし、使い方や保管方法で迷ったら販売店や専門家に相談することをおすすめします。

出典:国土交通省「モバイルバッテリーの機内持込みの新たなルールについて」

ポータブル電源のWh・mAh・Wに関するよくある質問(FAQ)

Q1. 1000Whのポータブル電源で、100Wの家電はどれくらい使えますか?

A. 単純計算では1000Wh÷100W=10時間ですが、インバーターの変換ロスなどがあるため、実際には8〜9時間程度が現実的な目安です。
実効容量は表示の80〜90%程度と見込み、少し余裕を持って考えるのがおすすめです。
使用環境や機器によっても変わるため、あくまで一般的な目安としてお考えください。

Q2. mAh表記しかない製品のWhは、どうやって計算すればいいですか?

A. 「Wh=(mAh×電圧V)÷1000」で計算できます。
電圧が記載されていない場合は、一般的なリチウムイオン電池なら3.7V、リン酸鉄リチウム(LiFePO4)なら3.2Vを目安に概算してください。
ただしこれは仮定値なので、正確な数値はメーカー公式サイトや取扱説明書で確認するのが確実です。

Q3. Jackeryのポータブル電源はmAhで表記されていますか?

A. 小型モデルではWhとmAhの併記が見られます。
たとえばExplorer 100 Plusは「99.2Wh/31000mAh(3.2V)」のように案内されており、内部セル電圧3.2Vで換算すると計算が一致します。
大容量モデルは基本的にWh表記が中心です。
最新の仕様はJackery公式サイトでご確認ください。

Q4. Whが大きいポータブル電源を選べば、それだけで安心ですか?

A. Whだけでは不十分です。
Whは「どれだけ長く使えるか」の指標であり、パワーの上限は定格出力(W)で決まります。
容量が大きくても定格出力が使いたい家電の消費電力を下回っていれば動かせません。
Whと定格出力の両方を、使いたい家電に照らして確認することが大切です。

Q5. ポータブル電源は飛行機に持ち込めますか?

A. 一般的に100Wh以下なら持ち込み可能、100Wh超〜160Wh以下は航空会社の事前承認が必要になる場合があり、160Wh超は持ち込みも預け入れも原則不可とされています。
多くのポータブル電源は160Whを超えるため、飛行機での持ち運びは難しいのが実情です。
規定は航空会社ごとに異なるため、必ず利用する航空会社の公式サイトで最新情報をご確認ください。

必要容量Whの計算手順まとめ

最後に、この記事の内容を「自分に必要な容量を計算する手順」として整理します。
スペック表を前にしたら、次の流れで考えてみてください。

  • 手順1:使いたい家電の消費電力(W)をラベルや説明書で確認する
  • 手順2:「消費電力(W)×使いたい時間(h)」で必要な電力量(Wh)を計算する
  • 手順3:変換ロスを見込んで、計算結果を1.2〜1.25倍して余裕を持たせる
  • 手順4:その数値以上のWhを持ち、定格出力(W)が家電の消費電力を上回るモデルを選ぶ
  • 手順5:mAh表記しかない場合は「Wh=(mAh×V)÷1000」でWhに換算して比較する

たとえば「60Wの車載冷蔵庫を8時間使いたい」なら、60W×8h=480Wh、余裕を見て480×1.25=600Wh程度が目安、という具合です。
停電時に冷蔵庫や照明などをどれくらい動かせるか知りたい場合は、停電時にポータブル電源で何時間使えるかも確認しておくと、実際の使用時間をイメージしやすくなります。
この計算ができるだけで、容量不足で困ることも、必要以上に大きくて高いモデルを買ってしまうことも、ぐっと減らせます。

改めてまとめると、ポータブル電源選びの軸は「容量はWhで見る」「パワーは定格出力Wで見る」「mAhは電圧とセットでWhに換算する」の3つです。
mAhの数字の大きさだけに惑わされず、Whと定格出力という2つの物差しで製品を見る。
これが、後悔しないポータブル電源選びのいちばんの近道だと私は考えています。

なお、本記事で紹介した数値や計算例はあくまで一般的な目安です。
実際の性能は製品や使用環境によって異なりますので、正確な仕様は各メーカーの公式サイトをご確認ください。
また、大容量バッテリーの取り扱いや安全面で不安がある場合は、購入前に販売店やメーカー、専門家に相談することをおすすめします。

あなたのポータブル電源選びが、この記事で少しでもスムーズになればうれしいです。
次にスペック表を見るときは、ぜひ今日覚えた計算式を使ってみてくださいね。

ジンデンをフォローする
この記事を書いた人
ジンデン

工業高校電気科卒・国家資格保有の次世代エレクトロニクス・コンサルティングアナリスト、案内人ジンデンのプロフィール。文部大臣賞受賞の発明経験からポータブル電源の仕組みと安全性を根拠ある情報で発信しています。

ジンデンをフォローする